テレビや交通広告における認知施策であればイメージが湧く人もいるとは思いますが、「デジタル広告の認知施策とは何か」と問いかけられて、どのように効果測定、指標設計を行うのか、あまりイメージが湧いていない人もいるではないのでしょうか。今回は、デジタル認知施策の需要拡大の背景、指標の設計方法について紹介します。
■なぜデジタル広告における認知施策の重要性が高まっているのでしょうか?
デジタル広告の認知施策の需要が増えている背景として、下記2点があると考えています。
①iOS14などプライバシー制限による獲得広告の計測障壁
皆さん既にご存じの通り、2020年9月17日よりiOS14がiPhone向けにリリースされたことにより、CVなどを計測していた機能は一部無効化になりました。獲得広告中心で広告配信を行ってきた広告主は、今まで通りの広告配信が難しくなり、視点を変えて、認知中心の広告配信にシフトしたのではないのでしょうか。
②インフィード・SNS媒体と動画媒体の認知メニューとコネクテッドTVの普及
高年層はリニアTV、若年層はモバイルという印象を抱いている方も多いかと思いますが、ここ数年でSNSや動画媒体は若い世代のみならず、1980年以前に生まれのX世代にも浸透してきて、リーチが広がっています。さらに、リニアTVと比べ、これらの媒体の認知メニューはターゲティングや広告効果のTrackingなども容易にできるので、デジタル認知のキャンペーンで良い効果を収める広告主は多くなってきています。
また、コネクティッドTVという、インターネット回線に接続されたテレビ端末は、2021年にすでに世帯普及率は半分程で、若者の間での利用率も高いです。
【消費者のCTV利用状況】
Source 2: https://www.screens-lab.jp/article/27940
また、広告配信において、リニアTVは、番組ごとの年代別の視聴率を用いる一方、コネクティッドTVは年代別のターゲティングだけでなく、広告配信するStreaming Serviceごとによって、ジオグラフィックターゲティング(郵便番号)、興味関心ターゲティング(番組ジャンル)など、リニアTVよりより細かい正確なターゲティングが可能です。
■デジタル認知施策について
デジタル認知施策のメリットは、配信手法が豊富であり、各メディアの特性を活かしたアプローチが可能なこと、しっかり設計を行うことで、効果測定・評価が可能になり、PDCAを回せることが挙げられます。
■デジタル認知施策の指標設計のポイント
デジタル認知施策の指標を設計する上で、重要なポイントは大きく二つ、①評価指標の設計、②媒体、メニュー選定です。
①評価指標の設計方法
管理画面のレポーティングや計測ツールにて、認知施策における効果の可視化が可能になり、いろんな指標がありますが、評価指標の設計方法として大切なのは、一律されたKPIを決めることです。認知配信において主に使用されるKPIは下記を参考にしてください。
業界、商材ごとにユーザーの行動や売上地点は異なるため、自社が持っている情報を基にどのKPIが適切か判断すべきです。
例えば、
【例1:A社】
比較検討から購買への期間が短く、競合との差別化がしづらい。一番に思い出して欲しい。
→「心理変容」のうちの「第一想起」
【例2:B社】
ユーザーが比較検討から購買までの期間で自分で情報を吟味する、比較検討の段階に自社の商品をのせたい。
→「行動変容」のうちの「サイト来訪」
のようにKPIを決定することをオススメします。
もし仮にデジタル媒体だけではなく、TVなどを含むトラディショナルなメディアや、ユーザーのオフライン行動も含めたい場合は、オンラインとオフラインを統合した計測が必要となります。
Septeni Globalでは、TV視聴ログを保有するSTADIAという電通グループのツールを使用することで、独自のIDを結びつけることにより、TV視聴ログとWEB接触ログの統合分析や、CCC・Ponta等のオフライン購買データとTV視聴ログの紐付けが可能となります。
また、行動変容、広告指標/リーチ、その他の指標については、計測手法により数値が可視化されますが、数値で見えづらい心理変容のKPIに関してもBrand Lift Surveyの結果を用いて、一人当たりの態度変容単価であるCPB(Cost per Brand Lift)を算出することで可視化すべきです。Brand Lift Surveyは、大きく2つ❶実接触ログベース❷調査会社によるアスキングベースにより計測可能です。
❶実接触ログベース
広告接触ユーザーと広告非接触ユーザーに分けて広告配信し、媒体上でアンケートを実施し、ブランドへの態度変容を調査。
※Brand Lift Surveyは、Google、Instagram、Twitterなどで実施可能ですが、媒体ごとにより利用できる内容や条件は異なります。
❷調査会社によるアスキングベース(KANTER、マクロミルなど)
該当クリエイティブをユーザーに閲覧させ、閲覧済みと閲覧したことない人でアンケート結果を分け調査。
②媒体・メニュー選定
①が決定したら、②媒体・メニュー選定の段階に入ります。媒体・メニューを選ぶのに大切なのは、❶ターゲット層❷配信目的(KPI)です。
❶ターゲット層
媒体特有のユーザー属性や、可能なターゲティングの種類等で判断。
❷配信目的(KPI)
媒体が設定できる目的、配信面、FMTなどのメニューや、導入可能な計測ツールの種類で判断。
具体的にどのように選定するかについて、媒体メニュー別に方法を紹介します。
【インフィード・SNS認知メニューの場合】
目的は、リーチ系のメニューが多く、BrandLift Surveyは基本的に実施可能、ユーザー層が媒体によって異なります。選定方法は、メイン(ターゲット)層や予算感によって判断します。
【動画媒体認知のメニューの場合】
目的はリーチ、エンゲージメント、視聴、比較検討など様々です。
基本的には、KPI(完全視聴、リーチ、理解促進など)と、クリエイティブ(FMT、秒数)で選定を判断します。
以上、デジタル認知施策の設計のノウハウの共有でした。お読みいただきありがとうございます。
本日紹介させていただいたのはほんの一部ですが、今後、デジタル認知施策はより需要が高まっていくと思います。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
デジタル認知施策の具体的な詳細、効果可視化・分析のためのソリューションについてもっと知りたい方は、hello@septeniamerica.comまでご連絡をお待ちしております。
REI YAMAMOTO
MEDIA PLANNING, MANAGER
2018年4月、Septeni入社。セプテーニ入社以来、数多くのUAキャンペーンを担当。メディア最適化の知識を活かし、広告主の目標達成にコミット。
2019年:ルーキー賞を受賞。
2020年:コンサルタント賞を受賞。
2021年:全社最優秀賞受賞。
2022年:最年少で管理職に昇進。
SEPTENI GLOBALについて
Septeni Globalはデジタルマーケティングに特化した、グローバル企業です。戦略立案、クリエイティブ制作をはじめ、デジタル領域を中心にブランド認知からユーザーグロースまで、一気通貫でクライアントの課題解決を実現するサービスを提供しています。
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